〈ライブの感想〉

 

  当日は主催者として,客席の一番後ろの高いところからライブを拝見しました。
 お客さんの反応とバンド・メンバー全員の演奏を見るのに,とても適した場所でした。
 スタートはハスクリア。
 お客さんにとって,美潮さんは初めて見る人ですから,興味はあれど緊張といいますか,人見知り状態にあったと思います。でも神秘的といったイメージで,つかみはOKです。前半は美潮さんも緊張は大いにあったと推測します。何たって顔見知りがいないのですから。お互い固くなっていたような感じでした。
 しかし,曲ごとの合間に美潮さんのトークが入り,4曲目の「まっすぐ」あたりからリラックスモードに入っていました。
 お客さんもスタート時の不思議な存在からトークを経て,気取らない気さくな人柄を理解し,ぐいっと中に入ってきました。
 前半の最後は「走れ自転車」子供さんへのプレゼントです。子供達は目を輝かせて喜んでいました。
 全体的には前半はゆったりめの曲が多く,お客さんは癒し系の歌手だと思っていたそうです。

 

 20分程の休憩を挟み,後半は一転してエンジンが掛かり,スタートの「弁天システム」からラストの「私は宝」まで,全くといって良いほど,無駄のないエキサイティングな演奏でした。 特に10曲目の「恋」から「窓」へと本格的などこまでも伸びていくボーカルを聴かせ,ただ者ではない歌唱力と「やっとだね」で軽快な踊りが入り,ラストの「私は宝」へと続く展開は,私のイメージではありますが,かつて私がエアロスミスの「ロックス」やクイーンのセカンドアルバムを聴いたときと同じ様な,トータルな怒濤のグイグイと押し迫りくるとてつもない迫力を感じました。
 観客はゆったりとしたイメージの美潮さんから力強い美潮さんの両面を見て,大興奮です,私は美潮さんの本来のタイプは,ステーヴン・タイラーやフレディー・マーキュリー,ロバート・プラントのように,湧き上がる感情で唄う人なのではと感じているのですが,皆さんはどう思いますか?
 最後にアンコールの「まだ」は,チャクラが大好きだった私へのプレゼントでした。チャクラのファーストから何百回とレコードが擦り切れる程聴いていた私にとって,サード・アルバムのラストの「まだ」は,ショッキングな曲でした。
 歌詞を見て「なぜ未完成」で終わるのか訳が分からないままに置き去りにされたような気がしました。
 ところが今回のアンコールの「まだ」は,ゾンビのように蘇り,息を吹き返し,最大限のパワーあふれるハードロック「まだ」に変身しました。
 時を経て,心臓がばくばくするような,ハッピーな「まだ」を聴けるとはただただ幸せです。
 歌詞やいきさつを知らないお客さんは,幸せなことを唄った曲と思って帰ったでしょうね。
 演奏は大成功。

 

 後日,お客さんの話ですと,帰りに早速CDを車の中で聴いて帰った人も多いようです。
 詞や曲に完全にはまったお客さんも多くいたという事は,何を見て何を感じたのか,歌詞の持つ大切さを教えてもらった気がします。
 今回の私のテーマは「皆と一緒にお祝いをしたい感謝ライブ」でした。以前東京で美潮さんに「ひとりで! みんなと!!」というメッセージ付きの色紙をいただきました。今でも「私の宝」です。

 

 武道では「自他共栄」という言葉がありますが,美潮さんから「みんな協力して仲良くやってね」ということを伝えてくれたライブでした。だからこそ最後の「まだ」が意味をなしてくるのです。
 バンドのメンバーのひとりひとりとお話をさせていただき,更に東京から来た方々とも知り合いになり,美潮さんを支えている人達の優しさと本気さを伺うことが出来ました。
 大川さんの骨折の痛みをパワーにかえた立ち上がっての演奏。勝俣さんのシャイながらも真剣な表情,れいちさん,MACさんのリズミカルなノリの良さ,Ma*Toさんの手堅い演奏,そしてあとでの発見で,名曲「窓」はMa*Toさんが作っていたという事実。
 あらためて完成度の高いバンドだと思います。アドリブも盛りだくさん。
 曲の構成も素晴らしく,私は大満足です。

 まとまらない感想ですが,とにかく感動的なライブで,大成功でした。